雨宿りのテルテル坊主

PBWシルバーレインのPC、吊下骸の日記

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赤い電話はもう鳴らない


整理のつかない現実と
見つけた真実の断片
そして力の代償

今日からは、公衆電話でも使おう












――――――五ヶ月前

雪は降っていない・・・室内だと気づいた

目を開けて飛び込んできたのは
灰色の空ではなく、白い天井




起き上がろうとして、少女は鈍い痛みを感じた
腕が包帯で覆われて、まるで窒息しそうなくらいだ
点滴が繋がれていて、残り三分の一
ここに運ばれてから、結構な時間が経っている
病院に運び込まれた、でいいのだろうか

「・・・金鈴さん、どうしたんだろう」

覚えているのは、彼と揉み合いになり
自分の腕が赤く、彼の腕が白くなっていたこと
血の赤、骨の白・・・
少女は想像しながら身震いした
あれは・・・自分は一体何をしたのか




ガチャ
と、病室の扉が開いた
人が入ってくる


長い漆黒の髪を緩くまとめており、涼やかな顔の女性
手には紙袋をいくつか提げている

「あ、あの・・・どちらさまで?」

少女が恐る恐る、口を開く


「金鈴です」




ん?ちょっと待って・・・あれ?
金鈴とはあの日公園で会った男で、負傷させた人ではないのか?
生憎と彼女の腕は健全そのもので
今も重そうな紙袋を提げている


と、混乱しているのが読み取れたのか
女性の金鈴は説明を始めた

「まず、君が公園で会ったのは金鈴ではありません」

一言、短く言うその声は何時もの電話の声
そして疑問の一つを簡単に解く
近くにあった椅子を引き寄せ座り、彼女は続ける

「さて、どこから話すべきかな・・・」

眉間に少しシワを寄せ、金鈴なる人物は少女にも
わかりやすく説明しようと試みる

「まずは質問をしよう、何がわからない?」

わからない事がわからない等とは良く言ったもので
実際、聞かれないと思いつかないこともある

「えっと・・・じゃぁ、私が公園で会った金鈴さんは、誰?」

正当防衛に近いとはいえ、殺傷沙汰だ
行く末も気になる

「僕らの里の敵対勢力、で片付けば楽なんだが・・・
 仕方ない、君のご両親の正体から説明しよう」

自分の、両親の、正体?
家族とは少女にとって大切なものだ
自分の知らない家族・・・
少女は疎外感を感じる一方で、続きが気になって仕方がなかった

金鈴が近場にあった机を持ってきて紙にペンで
書きながら、説明を始める


「僕らの里というのは、水練の流れを組む忍者でね
 君のご両親も一族の末裔なんだよ」

つまり、現実味がわかないが、お父さんとお母さんは『忍者』
という解釈で良いのだろうか・・・
金鈴が紙に丸を描いて続ける

「と言っても、実際に忍者だったのは君のお父さんで、
 君のお母さんは伝承者という役割なんだ」

伝承者・・・ファンタジーなゲームの世界にいそうな響きだ
描いた丸から棒線を二本描いて説明を付け加える

「そして、代々伝承しているのが君で言う、子守唄というわけさ
 子守唄は里の機密情報を隠蔽したものなんだよ」

紙を覗き込み、耳を傾け少女は一つ一つに頷く
ここまでは、割とわかりやすい
しかし答えに辿り着いてない
あの公園で会った金鈴が誰なのか

「組織が複数あると、必ず利害が一致しない同士というのが出てくる」

紙の端に丸をまた一つ、二つ、と描いて説明を続ける

「そして、相手を潰すのに必要不可欠なのが・・・情報」

ここまできて、ようやく答えが明確になってきた

「つまり、あの偽者はそうした情報を盗むための敵の工作兵ってところかな
 君を狙ったのは、もう君しか子守唄を知ってる者がいないからだろう」




男の金鈴が誰なのか、その答えは少女の過去まで浮き彫りにした
「少し休憩しようか?」
そう言って金鈴は飲み物を買いに席を立つ
少女はまだ混乱したままだった
一遍に情報を詰め込まれたので頭がパンクしそうなのだ
色々整理して落ち着きを取り戻す



つまり、自分は忍者の里の、情報を(知らずに)知っていて、狙われた



そこまで考えて少女は深い溜め息をついた
もはや、これは不運としか言いようがない
否、片付けられない・・・

たまたま自分がそうであった
たまたま自分がこうであった

生まれるところは決められねぇが、自分の好きなように生きろ!
と言った父の言葉を思い出す
不器用で、でも大好きなお父さん

これまでやってこれたのも、そうした真っ直ぐな言葉のおかげだろう




「おまたせ、はいカフェオレ」

そう言って渡される紙コップから、ほんのり湯気が立っている

「わ、ありがとうございます・・・あづっ!」

勢い良く飲もうとして舌を火傷する
手で感じてる温度と随分差があるものだ

「大丈夫かい?氷ならあるよ・・・」

と言って差し出される簡易冷凍庫からの恵み・・・
手にとって、違和感を覚える、口に放り込んで、確信になる




「金鈴さん、私・・・・・」
























てのひらが、温度を感じない












それから色々な事を教えてもらった
能力者のこと、銀誓館のこと、これからどうすればいいか

でも、どうすればいいかって聞いたら
「君の好きに生きなさい」
と、言われた

子守唄は、しばらく大丈夫らしい
今回の襲撃で、偽者の金鈴さんを盾に解決の兆しが見えているらしい



自分のてのひらを見つめて、握る・・・
とりあえずは、強くなろう

大切なものが出来た時、今度こそ守るために






―――――― 退院


「夢くんには、本当に済まないことをしました
 これからも何かあったら、遠慮なく頼ってくださいね」


夢と呼ばれた少女は答える

「大丈夫です、金鈴さんのせいじゃないし
 それに、本当の事を教えてくれた」

同時に心を決める

「金鈴さん、私強くなりますよ」

自分にも言い聞かせるような決意

「強くなって、もう心配させない」

少しずつ、自分の足で立とう

「守りたいものがわかったから」




そして、いつか、また、この手にぬくもりを・・・・・



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  1. 2007/06/26(火) 02:01:00|
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