雨宿りのテルテル坊主

PBWシルバーレインのPC、吊下骸の日記

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赤い電話は2度鳴る


携帯を置いて家を出た
行く当てはないけれど・・・







―――――――――半年前

少女は、ある古びた家に下宿していた
銭湯を経営している老夫婦の一家である
毎日、銭湯の掃除をする約束で厄介になったのだ
お孫さんが度々遊びに来るが、少女のことも
まるで本当の孫のように接してくれる



「・・・よし、これでおしまい!」


洗剤の香りを纏いながら、少女は今日も一仕事終えて
自分の部屋へと戻った・・・

「・・・・ちゃ・・・ん、・・・ちゃん、いるかい?」

お世話になっているお爺ちゃんの声が
下の階からか細く聞こえる

「あ、はーい!今行きまーす!!!」

少女は駆け足で階段を降りていく
・・・お爺ちゃんの腕には、小包が握られていた

「誰からかは知らんが、お前さんの名前が書いてあるぞ?」

不思議に思った
だって、誰にもココの事を教えてないのだから
もっとも、親しい友人はこの頃いなかった



「・・・・・なんだろう?」

ビッ---!

包みを開けると、そこには「赤い携帯電話」が入っていた

「・・・・・え、なんで?」

真新しいが、一緒だった
あの時、置いていった携帯と・・・

ピピピピピピピピ!
箱を開けて、しばらくにらめっこをしていたら
突然、携帯が鳴り出した

名前は・・・まだ登録されてないようだ

何故、こんなものが・・・
答えは電話の向こうが教えてくれる気がした

――――――ピッ!
通話ボタンをおそるおそる、押す



ドックンドックンドックン

鼓動が早鐘を打つ・・・



ドッドッドッドッドッドッド・・・・・・・
























「やぁ、新居の居心地はどうだい?」


冷ややかな声、こちらを伺う隙のない喋り、

――――――『金鈴』!

少女は、ただ愕然とした
逃げ切れたと思ったのに・・・

何故わかったのか、何故知っているのか、
この人は何者なんだ!?
電話を取り落とさなかったのが幸いだった
こちらの動揺は隠せる範囲である

「お、久しぶ、りです。金鈴さん、元気でしたか?」

舌がもつれる、手が震えだす

「・・・うん、君も元気そうで何よりだよ」

優しい優しい言葉、声は・・・・・・・笑っていない

「ダメじゃないか、引っ越すなら連絡をくれなきゃ」

あくまで、「逃げた」という事実ではなく
少女のミスによる「行方不明」として扱っている




少女に決断の時が来た
完全なる服従と永遠の逃亡
そのどちらを選ぶか




初めは悪い条件ではなかった
思い出すのに多少の時間がかかるとはいえ
生活を保障され、脅しをかけられたわけではない

しかし、最近になって
度々、急かされることが多くなった
連絡も頻繁だった


同時に9歳の時にはなかった好奇心も芽生えていた
子守唄を、何故、そこまで必死になって、聞き出すのか
全てを思い出した後、自分はどうなるのか・・・

それが怖くて、逃げ出した

それが解決に繋がるわけもなく、正しい答えでもないけれど
少女には、それが精一杯だった





「ねぇ、金鈴さん、今回のことはごめんなさい」

少女が続ける

「金鈴さんが良かったら、直接会って謝りたいの」

そして希望を見出す

「今まで会った事、一度もないけど」

逃げ切れなくてもいい、真実を知りたい

「会って、くれますか?」

それが、今の精一杯だから



「いいよ。場所は―――」



降りしきる雪の中、少女は公園へと
足を運んだ・・・

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  1. 2007/06/15(金) 23:12:16|
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