雨宿りのテルテル坊主

PBWシルバーレインのPC、吊下骸の日記

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赤い電話は3度鳴る


これは、とある女の子のお話


少女も昔は携帯を持っていた
ただ、持て余したから置いていった
声と共に









―――――――――1年前

夕方に商店街へ、夕食の買い物へ行く少女がいた
店は早いところで仕舞い支度を始めている時間
晴れた日は夕日が長い影を作る

少女にとって毎日の日課で、5年間欠かしたことはない
そう、一人きりになった9歳の夏から



ピピピピピピピピ・・・・

不意に電子音が鳴る
名前を確認する必要はなかった
登録されている名前は一人

「金鈴」

少女の両親は、少女が9歳の時に
押し入った強盗によって、命を落とした
と、少女は聞いた

当時、9歳の子供が自立出来るわけがなく
施設へ送られるのが当たり前の結果だ

そこへ身元保証人として引き取りに来た
正確には引き取り人になったのが
この金鈴という人物だ

会ったことは一度もない
どんな人なのかも知らない
きっと、街ですれ違っているかもしれない

そんな、あしながおじさんは少女に言った

「子守唄を思い出して」

子守唄、せいぜい5歳くらいまで聞いていればいい方だ
あいにく聞いていたのは、少女の一番近い思い出で3歳くらいまでだった




「思い出して教えてくれれば、生活に苦労はさせないよ」

ただただ、それだけだった
それだけが存在意義だった

お金が欲しかったんじゃない
ご飯をお腹いっぱい食べたいわけじゃない
雨を凌ぐ家も、子守唄が何なのかも

どうだっていい



必要とされたかった

パパもママもいなくなった少女は、ただ願う
私はどうすればいいの?
私は何をすればいいの?

答えは耳にすんなり届いた






「今日は思い出せたかい?」

冷ややかな、男性とも女性ともつかない声が向こうから聞こえる

「金鈴さん、こんにちわ!でも、ごめんなさい・・・今月はまだ」

八百屋の前で大根を品定めしながら、少女は言葉を紡ぐ

「・・・そう、焦らないでいいよ。ゆっくり思い出して、ね」

お決まりの言葉にお決まりの間・・・
携帯の向こうで笑っていない人物を想像する

「・・・ごめんなさい」

記憶からモノを的確に思い出すのは時間がかかる
それが年月を経てるなら経てるほど・・・
ただ、それを言い訳にしてはいけない
頑張ることは無意味ではないのだから

「気にしないでいい、思い出したらまた連絡をちょうだいね」

そう言って電話は切れた






「・・・また、連絡が出来たら、ね」
少女が最後にぽつりと、そう言った気がした。


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  1. 2007/06/13(水) 23:07:12|
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